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統合報告書の作成ポイント:企業価値を高めるための作成ガイドと実践事例

統合報告書は、企業の持続可能性と将来の成長戦略を総合的に伝える重要なツールです。この記事では、統合報告書の作成方法とその重要なポイントを深掘りし、企業がステークホルダーとの信頼を構築し、長期的な価値創造にどのように貢献するかをご紹介します。
財務情報と非財務情報のバランスの取り方、ステークホルダーとの効果的なコミュニケーション、持続可能なビジネスモデルへの取り組みといった要素が、統合報告書の核心をなしています。本記事を通じて、統合報告書作成の背景、その手順、および戦略的なアプローチを学び、企業価値を高めるためご参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.統合報告書とは?
    1. 1.1.有価証券報告書との違い
    2. 1.2.アニュアルレポートとの違い
  2. 2.統合報告書作成の意義
    1. 2.1.経営の透明性向上
    2. 2.2.ステークホルダーとの関係強化
    3. 2.3.持続可能性への取り組みの強調
    4. 2.4.ビジネスモデルと戦略の統合的理解
  3. 3.統合報告書の作成プロセス
    1. 3.1.ターゲットの特定と行動変化の想定
    2. 3.2.業界内の他の統合報告書の分析
    3. 3.3.発行時期とコストの明確化
    4. 3.4.報告書の方向性と全体像の決定
    5. 3.5.経営層や事業責任者の意見の反映
    6. 3.6.制作の開始
    7. 3.7.展開とプレスリリースの配信
  4. 4.自社の経営を可視化する「経営デザインシート」
    1. 4.1.経営デザインシートとは何か
    2. 4.2.経営デザインシートの構成要素
  5. 5.まとめ
  6. 6.統合報告書の作成についてよくある質問
    1. 6.1.統合報告書の作成にはどのような情報が必要ですか?
    2. 6.2.統合報告書の作成にかかる時間はどのくらいですか?
    3. 6.3.統合報告書の作成における最も重要なポイントは何ですか?


統合報告書とは?


統合報告書は、企業の情報開示資料の一つで、財務情報だけでなく、環境や社会への取り組みを含む包括的な報告を目的としています。これは企業の経営戦略や将来のビジョンを、ステークホルダーに対して総合的に伝えるツールとして重要です。

日本においては、統合報告書の発行義務はありませんが、多くの先進企業が自発的に作成し、企業価値の向上や投資家とのコミュニケーションツールとして活用しています。

有価証券報告書との違い


有価証券報告書は、主に企業の財務状況に焦点を当てた報告書で、日本では金融商品取引法に基づき、上場企業に対して年次報告の提出が義務付けられています。

この報告書は、企業の財務的な健全性や収益性を示すことに重点を置き、投資家や株主に対して重要な財務情報を提供することがその主な目的です。したがって、有価証券報告書は法律により定められた形式と内容を満たす必要があり、主に企業の財務データや経営成績、リスク管理に関する情報が含まれます。


アニュアルレポートとの違い


アニュアルレポートは、企業が一般的に自発的に作成する報告書で、企業の活動概要や経営戦略、財務情報を包括的に提供します。アニュアルレポートは、特に株主や潜在的な投資家に向けて作成されることが多く、企業の成果や目標、ビジョンを伝える手段として利用されます。

この報告書は、企業のブランドや文化、市場における位置付けを強調することも多く、財務データに加えて、企業の成果や取り組みを詳細に伝えることを目的としています。アニュアルレポートの作成は義務ではなく、各企業の裁量に委ねられており、形式や内容も企業によって異なることがあります。

統合報告書作成の意義


統合報告書を作成することは、どんな意義があるのでしょうか。ここでは、主な統合報告書作成の意義についてご紹介します。

経営の透明性向上


統合報告書は企業の経営の透明性を高める重要なツールです。財務情報だけでなく、環境、社会への取り組みや企業ガバナンスに関する情報も含まれるため、ステークホルダーは企業の活動全体を包括的に理解することができます。これにより、企業はその持続可能性や社会的責任を明確に伝え、信頼性と説得力を高めることが可能になります。

ステークホルダーとの関係強化


統合報告書は、企業とステークホルダー間のコミュニケーションを促進します。報告書は、株主、顧客、従業員、地域社会など、異なるステークホルダーの関心事を反映し、企業がこれらの関心事にどのように応えているかを示します。これにより、ステークホルダーとの関係が強化され、企業の社会的責任や持続可能性への取り組みに対する理解と支持を得ることができます。

持続可能性への取り組みの強調


統合報告書によって、企業は持続可能性への取り組みを強調することができます。環境保護、社会貢献、優れたガバナンスといった非財務的側面に焦点を当てることにより、企業はそのビジョンと戦略がどのように長期的な価値創造に貢献しているかを示すことが可能です。これは、特にESG(環境、社会、ガバナンス)に重点を置く投資家にとって重要な情報源となります。

ビジネスモデルと戦略の統合的理解


統合報告書は、企業のビジネスモデル、戦略、パフォーマンスを統合的に理解するのに役立ちます。企業はこの報告書を通じて、短期的な財務成果だけでなく、中長期的なビジョンと戦略を伝えることができます。これにより、投資家やその他のステークホルダーは、企業が直面する機会やリスクをより深く理解し、企業の将来の価値と潜在力を評価することが可能になります。

統合報告書の作成プロセス

統合報告書の作成には、特定のステップとポイントが存在します。これらは、報告書がその目的を果たし、効果的にステークホルダーに伝わるようにするために重要です。

ターゲットの特定と行動変化の想定


統合報告書を作成する最初のステップは、誰がこの報告書の主な読者であるかを特定することです。主に投資家がメインターゲットとなることが一般的ですが、顧客や従業員、パートナー企業など、様々なステークホルダーが対象となることも多くあります。

読者のニーズと期待を理解することで、報告書の内容が彼らにとって関連性が高く、影響力を持つものになります。さらに、読者に求める行動変容を明確に想定することで、報告書のメッセージがより明確かつ効果的に伝わります。

業界内の他の統合報告書の分析

業界内の他の企業がどのような統合報告書を作成しているかを分析することも重要です。これにより、業界のベストプラクティスを理解し、自社の報告書が業界内でどのように位置付けられるべきかを判断することができます。また、他社の報告書の強みと弱点を把握することで、自社の報告書をさらに洗練させることが可能になります。

発行時期とコストの明確化


統合報告書の発行時期と制作にかかるコストを明確にすることは、計画段階で極めて重要です。この段階でスケジュールと予算を決定し、報告書の作成が適切に管理されることを確実にします。タイムリーな発行は、報告書の関連性を保つためにも重要です。

報告書の方向性と全体像の決定

報告書の主要なテーマ、メッセージ、および構造を決定することが次のステップです。この段階では、報告書が伝えるべき主なポイントと、それをどのように伝えるかを決定します。報告書が総合的な企業価値をどのように反映しているかを考慮することが重要です。

経営層や事業責任者の意見の反映

経営層や事業責任者からのフィードバックを取り入れることは、報告書が企業の現実と戦略を正確に反映していることを確保するために不可欠です。彼らの視点を取り入れることで、報告書はより説得力を持ち、現実的な企業の姿を描くことができます。

制作の開始


すべての準備が整ったら、実際の制作に着手します。この段階では、内容の正確性と一貫性を保ちながら、デザインとレイアウトにも注意を払います。報告書は、読みやすく、視覚的にも魅力的である必要があります。

展開とプレスリリースの配信


最後に、報告書を公開し、それに関連するプレスリリースを配信します。これにより、報告書の存在とその重要な内容を広範な読者に周知させることができます。また、自社のウェブサイトやソーシャルメディアを通じて報告書を促進することも重要です。

自社の経営を可視化する「経営デザインシート」

統合報告書を作成するためには、自社の経営状況を整理することが大切です。そのために有用なツールとして、「経営デザインシート」があります。

経営デザインシートとは何か

定義
経営デザインシートは、将来を構想するための思考補助ツール(フレームワーク)です。

目的
環境変化に耐え抜き、持続的成長を達成するために、自社や事業の存在意義を意識し、過去(これまで)を把握し、長期的な視点で未来(これから)の在りたい姿を構想し、それに向けた戦略を策定することです。

経営デザインシートの構成要素


価値創造メカニズム

企業や事業がどのように価値を創造し、提供するかの仕組みです。
・入力(IN): 利用可能な資源(有形・無形、他者の資源など)
・出力(OUT): 提供する価値(経済的価値、社会的価値など)

ビジネスモデル

これらの資源をどのように組み合わせ、価値を創出するかを記載します。

企業理念/事業コンセプト
企業や事業の基本的な理念やコンセプトです。
・これまでの(B): 過去の業績や活動の把握。
・これからの(C): 未来の目指すべき姿や目標。
・移行の戦略(D): 現状から未来の目標に至るまでの戦略。

(出典:内閣府 知的財産戦略推進事務局「経営デザインシート」)

まとめ


統合報告書の作成は、企業が直面する多様な課題や機会を総合的に伝え、ステークホルダーとの信頼関係を築くための効果的な手段です。本記事で紹介した作成方法やポイントを適用することで、企業は自らの経営戦略、持続可能性への取り組み、そして社会的責任を明確に示すことが可能になります。

統合報告書は、単に情報を伝えるだけでなく、企業が長期的なビジョンに基づいて行動していることを示す強力なツールです。企業は、この報告書を通じて、自社の成長と発展を持続可能かつ透明性のある方法で促進し、ステークホルダーとの関係を深めることができます。

統合報告書の作成についてよくある質問


統合報告書の作成にはどのような情報が必要ですか?

統合報告書を作成するには、以下のような情報が必要です:

財務情報:財務諸表、財務パフォーマンスの指標、資金調達戦略など。
非財務情報:企業の持続可能性、社会的責任、環境への取り組み、従業員関連の情報、ガバナンス構造など。
戦略とビジョン:企業の長期的な目標、戦略的方向性、市場と業界内での位置付け。
リスクと機会:市場、環境、社会的リスク、およびこれらに対する対応策。

これらの情報は、統合報告書が企業の全体像を総合的に伝え、ステークホルダーに対して透明性を提供するために重要です。


統合報告書の作成にかかる時間はどのくらいですか?

統合報告書の作成に要する時間は、企業の規模、取り組む項目の数、利用可能なリソースによって異なります。一般的に、初めて統合報告書を作成する場合、数ヶ月から1年程度かかることが多いです。既存の報告書を統合報告書形式にアップデートする場合は、それよりも短い期間で完了することが可能です。重要なのは、品質を犠牲にせずに、計画的かつ段階的に作業を進めることです。

統合報告書の作成における最も重要なポイントは何ですか?

統合報告書作成における最も重要なポイントは、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションによって編み上げることです。統合報告書は、ステークホルダーが企業に対して持つ疑問や懸念に対処し、企業の価値創造プロセスを明確に伝えるためのものです。そのため、統合報告書を作成するにあたっては、経営を巻き込んだ対話やディスカッションの中で編み上げることが必要です。また、発行した統合報告書をベースに、あらゆるステークホルダーと対話を重ねることで、翌年度に向けたさらなるアップデートを目指すことが可能となります。

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