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-40,000人のデータから紐解く- 個人投資家が企業に求めるオンラインコミュニケーションとは?


個人投資家が重要なのはわかってはいるものの費用対効果が見えないためなかなか施策ができていない、前例踏襲で毎年同じ施策を行ってしまっている、など課題を感じられている発行体の皆さまも多いかと思います。

本セミナーにおいては、弊社が有する40,000人以上の個人投資家のデータベースを基に、個人投資家の実態を紐解きながら、「個人投資家は何を重要視しているのか」「今の時代に合わせた適切なコミュニケーションとは」にフォーカスし解説しました。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等はセミナー実施当時のものです。


【テーマ】
① 企業にとっての個人投資家の意味とは
 企業の皆さまにとって個人投資家とコミュニケーションをとることのメリットや重要性を考察。

② 個人投資家とはどんな人か
 個人投資家とのコミュニケーション設計にあたって、個人投資家がどんなIR情報に注目しているか、過去から現在へどのような変化をしているか独自データで考察。

③ 個人投資家への適切なコミュニケーションとは
 ① 、②をふまえ「誰に」「何を」「どのように」コミュニケーションを設計していくかを考察。

参加者の声

  • 個人投資家の保有を増やすことが、経営の自由度や株価の安定に繋がること。当たり前のことですが、改めて認識できました。
  • 多数の個人株主データを基にしたセミナーで、内容に説得力がありました。
  • BtoBの会社ですので、個人の方に当社の事業がどのようにかかわってくるのかを伝えることが良い、というアドバイスが参考になりました。
  • 個人投資家向けIRは感情に訴えかけることも大事という観点が面白かった。

登壇者プロフィール
株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズ
営業企画ユニット リーダー 早﨑 亨

2019年、株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズに入社。同社で一貫して営業に従事。「オンリーワンの、IRを。」をメインメッセージとし、企業のオンリーワン性を導き出すことで、IR活動や経営活動の支援を行う。

株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズ
フェロー 小澤一道

NTT系列のハウスエージェンシーにて15年にわたりPR・SP系のマーケティング・企画・制作に従事。2003年に株式会社a2media※に入社。本国内のIR黎明期から、上場企業のべ数百社のIR活動をコミュニケーションの側面から支援。

株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズ
メディアプロデュースユニット 大内泰輔

2007年株式会社a2media※に入社。e-株主リサーチモニターアンケートを通じて、個人投資家と企業の間をつなぐ心に響くIRコミュニケーションを模索するほか株主通信等、主に個人投資家・株主向けコミュニケーションの企画・制作を担う。
※2022年1月1日付でリンクコーポレイトコミュニケーションズに統合。

目次[非表示]

  1. 1.テーマ① 企業にとっての個人投資家の意味とは?
    1. 1.1.会社のより良い理解者をつくるべく、個人投資家と向き合うことは資本政策の面でも、経営の面でも大切。
      1. 1.1.1.意味① 経営の自由度の確保
      2. 1.1.2.意味② 株価の下支え
      3. 1.1.3.意味③ 個人資産の株式投資には拡大余地がある
  2. 2.テーマ② 個人投資家とはどんな人か?
    1. 2.1.≪DATA≫ 当社のもつe株主リサーチモニター※ 約45,000人への調査
      1. 2.1.1.保有スタイル
      2. 2.1.2.個人投資家が重視する企業価値
    2. 2.2.個人投資家が求める報酬には「金銭」「感情」2つがある。
      1. 2.2.1.2つの報酬に沿って「合理」と「情理」の2軸でIR活動を両立することが大切。
  3. 3.テーマ③ 個人投資家への適切なコミュニケーション
    1. 3.1.① 誰に:個人投資家の中でもターゲットを絞る。
    2. 3.2.②何を:情理と合理、双方を伝える。
    3. 3.3.③どのように:目的に応じた方法で継続的にコミュニケーション

テーマ① 企業にとっての個人投資家の意味とは?

会社のより良い理解者をつくるべく、個人投資家と向き合うことは資本政策の面でも、経営の面でも大切。

意味① 経営の自由度の確保

端的に言うと議決権を分散させる効果が期待できます。恣意的に意思統制がとりにくい個人株主に多数保有していただくことで、大量保有株主が意図的に議案への反対票を集めることや、株主提案の実施、TOB(敵対的買収)行為を行うなど、過度な経営への介入不安を低減させ、適切なガバナンスを保持しながら、自由に経営の旗ふりをできる環境づくりにつながっていくと考えています。


意味② 株価の下支え

短期志向が強いと思われがちな個人投資家ですが、近年長期志向で投資する傾向が強くなってきています。このことにより、持合株式が解消され、安定株主を獲得しにくくなっている昨今において、短期的な業績や株価に左右されず会社を下支えてしてくれる存在として、個人投資家の重要度は高まっていると考えています。


意味③ 個人資産の株式投資には拡大余地がある

日本の個人金融資産は2022年には2000兆円を超えてくるとも言われていますが、その内訳は5割強が預貯金となっており、株式及び投信は15%弱というのが日本の現状です。対して、資産運用への意識が高い米国では50%強、欧州圏では30%弱の個人金融資産が証券市場に流入しています。
近年、コロナ禍による雇用や収入等への不安にともなう資産形成意識の高まりや銀行預金の低金利によって、日本国内でも、預貯金から株式や投信による資産運用へ移行する流れが強まっています。欧米と同程度に日本の個人金融資産が証券市場に流入していくと仮定すると、欧州並みで約250兆円、米国並みになると約700兆円もの拡大余地が残されていると言えます。
特に若年層を中心とした「スマホ証券」の口座開設数は、下図にもあるとおり大きく伸びています。さらに、2022年度から高等学校で資産形成の授業が始まるなど、今後、個人投資家は日本の資本市場の中で重要なプレーヤーになっていくと考えられます。


テーマ② 個人投資家とはどんな人か?

≪DATA≫ 当社のもつe株主リサーチモニター※ 約45,000人への調査

※投資実績のある個人投資家の母集団

保有スタイル


【考察】
・預貯金の還元率が下がり、個人が自分で資産形成をする必要性が高まっている。
・短期的な売買よりも長期保有によるリスク低減への意識も強まっている。

個人投資家が重視する企業価値


【2012年→2020年の変化】
UP]事業内容、ビジョンや目標 [DOWN]財務内容、株主優待
▶ 財務データだけでなく成長性への注目度が高まっている。

個人投資家が求める報酬には「金銭」「感情」2つがある。

事業内容やビジョンへの共感を個人投資家が大切にしていることの背景には、配当や優待などの金銭的な報酬に加えて、株主になることで得られる会社への親近感など、感情面での報酬も求めていることがあると考えています。


※感情報酬:株主になることで、その会社に感じられる感情面での特別感

2つの報酬に沿って「合理」と「情理」の2軸でIR活動を両立することが大切。

個人投資家が求める2つの報酬を、企業が発信するIR情報に置き換えると、配当や優待、業績など合理的な情報の開示に加えて、感情報酬を高める情理面に訴えるメッセージになります。「合理」「情理」の両輪でのIRが求められていると考えます。


テーマ③ 個人投資家への適切なコミュニケーション

① 誰に:個人投資家の中でもターゲットを絞る。

⇒自社のどこに共感して欲しいかを考えてメッセージを発信する。
 BtoB企業は採用活動のコミュニケーションもヒントに。

個人投資家に自社への理解や共感を獲得したいポイントをしっかりメッセージし、感応してくれた方々に株主になっていただくといったことが大切です。BtoCの事業であれば、株主は顧客に近い存在として、メッセージしやすいかもしれませんが、BtoB企業の方にとっては知名度不足や事業内容の伝え方に課題やお悩みを抱えていることが多いかもしれません。その場合、新卒採用の活動をイメージすることは、特に取り入れやすい観点だと考えています。自社の理念や社会にどんな場面で貢献しているのかを発信し、共感してくれた学生を採用するという目的を持ったコミュニケーションの考え方はとても参考になると思われます。

②何を:情理と合理、双方を伝える。

⇒現在価値だけでなく将来への期待をもっていただくメッセージを発信する。

未来の成長への期待は現在価値を示す財務データだけでは得ることができません。非財務情報が、昨今将来的に財務価値にインパクトを及ぼす「プレ財務」と呼ばれるように、定性的なビジョンやストーリー等、情理に届くメッセージを発信することが重要だと考えています。


【2015年→2021年の変化】
UP]成長戦略、社長メッセージ、中計等 [DOWN]財務情報
▶ 情理に訴えかけるコンテンツへの関心が高まっている。

③どのように:目的に応じた方法で継続的にコミュニケーション

⇒PDCAをまわしながらコミュニケーションをくみ上げる。

一般的には中間期・通期でのルーティンな情報発信が行われていますが、それだけではなく、継続的にメッセージ発信していくことで期待は形成されていきます。オンラインでの会社説明会等コロナ禍を機に広がったコミュニケーションの選択肢から目的に合ったものを選び、株主の声に耳を傾け、PDCAをまわしながらコミュニケーションを続けていくことが大切だと考えています。


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