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コーポレートガバナンス・コードとは?:持続可能性と企業価値向上への活用

コーポレートガバナンス・コードは、透明性、責任ある経営、ステークホルダーとの良好な関係構築を目指しています。企業が経営監督、内部統制、リスク管理を強化することで、投資家の信頼を確保し、持続可能なビジネスモデルへの道を切り開くための枠組みとして重要です。これらは、コーポレートガバナンス報告書や統合報告書などの開示資料において参考にされます。
本記事では、コーポレートガバナンス・コードの基本的な概念やその内容、活用方法などをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.コーポレートガバナンス・コードとは?
  2. 2.コーポレートガバナンス・コードの主要な原則
  3. 3.コーポレートガバナンス・コードの特徴
  4. 4.2021年に改訂されたコーポレートガバナンスコードのポイント
  5. 5.コーポレートガバナンス・コードの構成
  6. 6.コーポレートガバナンス・コードを活用するためのポイント
  7. 7.まとめ
  8. 8.コーポレートガバナンス・コードについてよくある質問

コーポレートガバナンス・コードとは?


企業の健全な経営と持続可能な成長を支える要素の一つとして、コーポレートガバナンスが注目されています。コーポレートガバナンス・コードとは、企業経営において透明性、公正性、責任を確保するためのガイドラインです。ここでは、コーポレートガバナンス・コードの基本的な要点とその重要性についてご紹介します。

コーポレートガバナンスの基本


コーポレートガバナンス・コード(Corporate Governance Code)は、企業の経営と監督構造に関する一連の原則や指針です。これは、企業がステークホルダーの利益を適切に考慮し、透明性と責任を持って経営を行うための枠組みを提供します。コーポレートガバナンスの基本概念には、ステークホルダーの権利と利益の保護、効果的な監督、公平な経営、透明性、責任が含まれます。

(参考:東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード 」)

コーポレートガバナンス・コードの変遷


コーポレートガバナンス・コードの制定は、日本経済の再興と企業の競争力強化を目指す一環として行われました。2014年の「日本再興戦略」改訂において、企業価値の向上が日本経済成長の重要な要素であると再確認されました。この戦略では、企業が自主的に持続可能な成長を目指すことが強調され、そのための具体的な手段としてコーポレートガバナンスの強化が挙げられました。

この文脈で、「持続的成長に向けた企業の自律的な取組」とは、企業が中長期的な視点で資本の効率性を高め、グローバル市場における競争力を強化することを意味します。これは、企業の収益力を高め、結果として雇用の創出、賃金の増加、配当の向上など、経済全体の好循環を生み出すことを目的としています。

この戦略に基づき、金融庁と東京証券取引所は共同で動き出し、「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」を2014年8月から2015年3月にかけて開催しました。

この会議では、コーポレートガバナンス・コードの原案が作成され、その後公表されました。このコードの策定は、日本の企業がより透明で責任ある経営を行うためのガイドラインを提供し、国内外の投資家からの信頼を高めることを目的としています。


コーポレートガバナンス・コードの重要性


コーポレートガバナンス・コードの導入は、企業価値の向上に大きく寄与します。良好なガバナンスは、投資家や他のステークホルダーに対して企業が健全な経営を行っているという信頼を築きます。これは、企業の信用力向上、資金調達コストの低減、株価の安定に直接的な影響を与えます。

また、投資家との関係構築においても重要な役割を果たします。透明性の高い情報開示やステークホルダーの声を反映した意思決定プロセスは、投資家の信頼を獲得し、長期的な関係を構築する基盤となります。このように、コーポレートガバナンス・コードは企業の長期的な成功に不可欠な要素です。


コーポレートガバナンス・コードの主要な原則


コーポレートガバナンス・コードは、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたものです。

これらが適切に実践されることは、それぞれの会社において持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための自律的な対応が図られることを通じて、会社、投資家、ひいては経済全体の発展にも寄与することとなるものです。

ここでは、コーポレートガバナンス・コードの主要な原則についてご紹介します。


株主の権利・平等性の確保


この原則は、すべての株主が公平に扱われ、その権利が保護されることを保証します。これには、株主総会での投票権、重要な企業決定に関する情報へのアクセス、利益配分への公平な権利などが含まれます。

また、少数株主と大株主間の平等性を確保することも重要です。これにより、株主が自身の投資に対して適切な発言力を持ち、企業経営に対して責任を持てる環境が整います。


株主以外のステークホルダーとの適切な協働


コーポレートガバナンスでは、従業員、顧客、サプライヤー、地域社会など、株主以外のステークホルダーとの関係も重視されます。企業はこれらのステークホルダーと協力し、彼らの利益や権利を尊重する必要があります。

適切なステークホルダー管理は、企業の長期的な成功と持続可能性に寄与し、企業評判の向上にもつながります。


適切な情報開示と透明性の確保


企業は、財務状況、経営戦略、リスク管理、その他重要な経営情報を透明かつ正確に開示する必要があります。これにより、株主やその他の利害関係者が適切な意思決定を行うための情報を手に入れることができます。透明な情報開示は、投資家の信頼を築き、市場の効率性を高めるのにも不可欠です。

取締役会等の責務


取締役会やその他の経営機関は、企業の戦略的方向性や政策を決定し、実行する上で重要な役割を果たします。彼らは、企業の利益とステークホルダーの利益を代表し、保護する責任を負います。取締役会は、独立性、専門性、効果的な意思決定プロセス、適切な監督機能を備えることが求められます。
株主との対話

企業は株主との積極的な対話を通じて、株主の意見や懸念を理解し、それを経営に反映させる必要があります。株主との定期的なコミュニケーションは、株主の関心のあることを理解し、長期的な関係を築くために重要です。また、株主からのフィードバックは、企業のガバナンスや戦略の改善にも影響します。


コーポレートガバナンス・コードの特徴


コーポレートガバナンス・コードには、プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)とコンプライ・オア・エクスプレイン(comply or explain)という二つの重要な特徴があります。


プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)


プリンシプルベースのアプローチは、具体的な規則や手続きを定めるのではなく、一連の原則またはガイドラインを設定して、細かい事項は各企業に任せることを指します。このアプローチの目的は、様々な種類や規模の企業が、それぞれの状況や特性に合わせてガバナンスの原則を適用しやすくすることです。

企業は自らの状況に応じて最適な方法でこれらの原則を実装し、自主的にガバナンスを強化することが求められます。この柔軟性は、企業が個別の事情に応じて最適なガバナンス構造を構築するのに役立ちます。


コンプライ・オア・エクスプレイン(comply or explain)


コンプライ・オア・エクスプレインのアプローチは、企業が設定されたガバナンス原則に従うか、または従わない場合にその理由を説明することを要求します。

このアプローチの中心となるのは透明性です。企業が特定のガバナンス原則に従わない場合、その決定の理由と背景を明確に説明する必要があります。これにより、投資家やその他の利害関係者は、企業が特定のガバナンスの側面をどのように取り扱っているかを理解し、それに基づいて判断を下すことができます。


2021年に改訂されたコーポレートガバナンスコードのポイント


2021年6月11日に改訂されたコーポレートガバナンス・コードには、以下の主要な点が含まれています。


取締役会の機能の発揮


この改訂は、デジタライゼーションの加速と持続可能性への要求の高まりを背景に、より充実した取締役会の機能発揮を求めています。具体的には、独立社外取締役の選任、経営戦略に適合する取締役のスキルの特定と開示、他社での経営経験を有する人材の独立社外取締役への選任などが要求されています。

企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保


多様性の確保は、変化する市場環境への対応力と新たな成長の実現に不可欠とされています。この改訂では、ジェンダー、国際性、職歴の多様性を含む中核人材の登用に関する方針、測定可能な自主目標の設定とその開示、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針の公表が要求されています。


サステナビリティを巡る課題への取組み


持続可能な開発目標(SDGs)や気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同機関数の増加を背景に、企業価値の中長期的な向上のためのサステナビリティが重要な経営課題とされています。この改訂では、気候変動の影響に関するデータの収集と分析、TCFDまたは同等の枠組みに基づく開示、サステナビリティ取組みの開示が要求されています。


上記以外の主な課題


2021年6月11日のコーポレートガバナンス・コード改訂では、上記のポイント以外にもいくつかの主要な課題に取り組んでいます。

グループガバナンス


改訂では、グループガバナンスの在り方が注目され、特に支配株主を有する上場子会社において、他の株主の保護が求められています。支配株主を有する上場会社は、取締役会において独立社外取締役を3分の1以上、プライム市場上場会社では過半数を選任することや、支配株主と少数株主の利益が相反する取引を独立した特別委員会で審議・検討することが求められています​​。


監査に対する信頼性の確保


企業の不正事案を防止するため、監査の信頼性を確保することが重視されています。上場会社は内部監査部門が取締役会や監査役会に直接報告する仕組みを構築し、取締役・監査役との連携を確保することが求められています​​。


内部統制・リスク管理


取締役会による内部統制やリスク管理体制の適切な整備が重要視されています。具体的には、取締役会がグループ全体を含めた内部統制や全社的なリスク管理体制を適切に構築し、その運用状況を監督することが要求されています​​。

(出典:金融庁「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」の公表について


コーポレートガバナンス・コードの構成


ここまで、コーポレートガバナンス・コードの原則などをご紹介してきました。ここでは、コーポレートガバナンス・コードの構成をご紹介します。

第1章 株主の権利・平等性の確保
【基本原則1】
【原則1-1.株主の権利の確保】
【原則1-2.株主総会における権利行使】
【原則1-3.資本政策の基本的な方針】
【原則1-4.政策保有株式】
【原則1-5.いわゆる買収防衛策】
【原則1-6.株主の利益を害する可能性のある資本政策】
【原則1-7.関連当事者間の取引】

第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
【基本原則2】
【原則2-1.中長期的な企業価値向上の基礎となる経営理念の策定】
【原則2-2.会社の行動準則の策定・実践】
【原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティーを巡る課題】
【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】
【原則2-5.内部通報】
【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】

第3章 適切な情報開示と透明性の確保
【基本原則3】
【原則3-1.情報開示の充実】
【原則3-2.外部会計監査人】

第4章 取締役会等の責務
【基本原則4】
【原則4-1.取締役会の役割・責務(1)】
【原則4-2.取締役会の役割・責務(2)】
【原則4-3.取締役会の役割・責務(3)】
【原則4-4.監査役及び監査役会の役割・責務】
【原則4-5.取締役・監査役等の受託者責任】
【原則4-6.経営の監督と執行】
【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】
【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
【原則4-9.独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
【原則4-10.任意の仕組みの活用】
【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】
【原則4-12.取締役会における審議の活性化】
【原則4-13.情報入手と支援体制】
【原則4-14.取締役・監査役のトレーニング】

第5章 株主との対話
【基本原則5】
【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表】

(出典:株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード 」)


コーポレートガバナンス・コードを活用するためのポイント


企業がコーポレートガバナンス・コードを活用してステークホルダーとのエンゲージメントを高めるための方法を以下の3つの項目に分けてご紹介します。


透明な情報開示


企業は、財務情報だけでなく、経営戦略、リスク管理、持続可能性への取り組みに関する情報を透明に開示することが重要です。

これには、年次報告書、ウェブサイト、投資家向けプレゼンテーション、ソーシャルメディアなどを活用することが含まれます。透明性の高い情報開示は、投資家や他のステークホルダーが企業の実態を正確に理解し、信頼を築くための基盤となります。


定期的なステークホルダーとのコミュニケーション


企業は、定期的なステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、彼らの意見や懸念を理解し、それに応じた行動を取ることが重要です。

これには、株主総会、投資家説明会、業界カンファレンスへの参加、一対一のミーティング、顧客アンケートや従業員との対話セッションなどが含まれます。これらの活動を通じて、企業はステークホルダーとの関係を強化し、信頼を築くことができます。


ダイバーシティ&インクルージョンの促進


企業は、取締役会や経営陣における多様性(ジェンダー、民族性、経験など)を促進し、包摂的な組織文化を育むことで、より幅広い視点とイノベーションを実現できます。

ダイバーシティ&インクルージョンの促進は、従業員のモチベーション向上、才能の発揮と維持、社会的責任の充足に寄与します。また、これはステークホルダーからのポジティブな評価を受け、企業のブランド価値を高めることにもつながります。


まとめ


コーポレートガバナンス・コードは、企業が長期的な成功を達成するための重要な指針です。透明性の高い経営監督、効果的なリスク管理、ステークホルダーとの積極的なコミュニケーションを通じて、企業は持続可能性と投資家信頼の両立を目指します。このコードの活用は、内部統制の強化と責任ある経営の促進を通じて、企業価値の向上に役立つでしょう。


コーポレートガバナンス・コードについてよくある質問


コーポレートガバナンス・コードとは何ですか?


コーポレートガバナンス・コードは、企業の経営と監督構造に関する原則や指針です。これは、透明性、責任、株主やその他のステークホルダーの権利の尊重などを基本としています。目的は、企業がその責任を果たし、長期的な持続可能性と成長を達成するためのガイドラインを提供することです。


人権デュー・デリジェンスはどのようにして企業に利益をもたらしますか?


コーポレートガバナンス・コードは、一般に「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守するか、説明するか)」の原則に基づいています。これは、企業がコードに記載された原則に従うか、または従わない場合にその理由を説明することを要求します。

完全な法的義務ではありませんが、コーポレートガバナンスコードの各原則を実施しない理由を十分に説明できない場合は、東京証券取引所の上場規則違反に該当します。違反した場合は、東京証券取引所から「理由の説明義務に違反した企業」として公表される可能性があります。


コーポレートガバナンス・コードが企業にもたらす利点は何ですか?


コーポレートガバナンス・コードの適用は、企業が透明性、責任、そしてステークホルダーの信頼を高めるのに役立ちます。これにより、投資家からの信頼が強化され、企業価値が向上します。また、良好なガバナンスはリスク管理を改善し、長期的な持続可能な成長への道を築きます。

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